研究

臨床研究(糖尿病グループ)

岩木健康増進プロジェクト

弘前大学では、2005年から弘前市岩木地区の住民約1,000名を対象として年一回の大規模健診を行なっています。検査は1,000項目以上にわたり、2013年からは国家プロジェクトにも採択されています。当講座も参画しており、得られた膨大なデータから多くの知見を報告しています。

糖尿病症例の心理査定・個別教育プログラム作成に関する研究

糖尿病の治療にあたっては、自己管理を継続していくために患者教育が不可欠です。当講座では、糖尿症患者さんの心理査定を行い、どのような教育システムが最も効果的か、個別プログラムを作成する研究を行なっており、国の支援を受けています。

糖尿病症例の味覚・嗅覚・口腔衛生状況に関する調査

糖尿病患者さんを対象として、味覚・嗅覚が食事内容にどのように影響するのか、血糖コントロールや合併症と口腔衛生状況の関連について調査・研究を行なっています。

臨床栄養学に基づいた診療と研究

膵臓病患者さん(慢性膵炎や膵切除術後など)に対する適切な栄養療法を目指した臨床研究を行っています。

  • 消化吸収機能評価における呼気検査の有用性の検討
  • 間接熱量計や体組成計を用いた栄養評価方法の検討
  • 糖尿病を合併する膵臓病患者さんの血糖コントロールを良質に保つ方法についての検討

糖尿病治療薬の臨床効果に関する研究

個々の糖尿病患者さんにあった、安全で有効な治療法を提供できる様、私たちは日々探求しています。DPP-4阻害薬が効きやすい(効きづらい)症例の解析や、SGLT2阻害薬が血糖コントロールと体重(体組成)に与える影響、より低血糖の少ない治療薬の組み合わせ(増やす方法、安全に減らす方法)、外来診療で使用しやすい簡便なインスリン分泌能の評価方法などについて研究しています。

学外活動(糖尿病グループ)

小児糖尿病サマーキャンプ

小児糖尿病サマーキャンプは、1929年米国で始まり、日本では約40年の歴史があります。インスリン治療を行っている小・中・高校生の糖尿病患者さまを対象として、全国50カ所で開催されています。
糖尿病をもつ子供たちが、医療スタッフとともにキャンプを行い、海や山で遊んだり、仲間とのつながりを通して糖尿病や食事のことを学びます。
本県でも、青森県小児糖尿病サマーキャンプ実行委員会の主催のもと、夏休みを利用して毎年開催しており、当講座からも医師・看護師・栄養士が参加し、会の運営に参画しています。

世界糖尿病デー:ブルーライトアップ

11月14日は国連により公式認定されている「世界糖尿病デー」です。糖尿病の予防、治療、療養を喚起する様々なイベントが各地で開催されています。本講座でも弘前市協力のもと、「世界糖尿病デーin弘前」を例年開催しており、青森銀行記念館、弘前城といった弘前市の名所をシンボルカラーであるブルーにライトアップしています。

Nutritional Supporting Team (NST)活動

栄養障害患者さん(主に低栄養患者さん)に対する栄養療法のプランニングやアセスメントを行い、担当診療科の治療をサポートします。他職種(管理栄養士、理学療法士、看護師、薬剤師など)との関わりから、多角的に患者さんを把握し診療するスキルが習得できます。

糖尿病協会活動

糖尿病の治療には、日常生活の療養指導が欠かせません。加えて、多くの方に糖尿病について知っていただき、早期発見・早期治療につなげることも大切です。当科では日本糖尿病協会、青森県糖尿病協会と連携し、「糖尿病啓発フェスタ」、「いきいきライフクッキング」など様々な活動を行い、患者様のみならず広く一般の方々に糖尿病の啓発活動を行っています。また他の施設の先生方と一緒に日本糖尿病協会の委員会に参加して、糖尿病連携手帳や自己管理ノートなどがより日常臨床でより使いやすいものになるよう、作成・改訂を行っています。

基礎研究(糖尿病グループ)

糖尿病性神経障害(DPN)の発症機序に関する研究

DPNは最も罹患率の高い糖尿病性合併症ですが有効な治療法は限られています。我々はDPNの発症機序におけるAGEs-RAGEシグナルやマクロファージを介した炎症の関与について、動物モデル、培養細胞を用いた分子生物学的手法により病態の解明を目指しています。

ヒト膵島の病理学的研究

β細胞の減少は糖尿病の主要な病態の一つであり、β細胞量を維持・増加させる治療法の開発に期待が持たれています。我々はヒトの膵島におけるβ細胞増殖のメカニズムを探るべく、病理学的手法を中心とした研究を行っています。

糖尿病と動脈硬化に関する研究

LDLコレステロールの一部はマクロファージに取り込まれて血管に蓄積しプラークを形成して動脈硬化の原因となります。HDLにはそのようなマクロファージからコレステロールを引き抜き回収して肝臓へ輸送するという機能があります。このHDLのマクロファージからコレステロールを引き抜く機能をEfflux能と呼びます。
Efflux能が高ければ高いほど動脈硬化は起こりにくいことがすでに分かっており、逆に糖尿病患者さんではEfflux能が有意に低下してしまうことが分かっています。当研究室では糖尿病患者さんではなぜEfflux能が下がってしまうのか、また低下してしまったEfflux能は改善させることができるのか、といったことを中心に研究しております。

内分泌グループ

International Pituitary Symposium, 2016, Hawaii

  • 視床下部-下垂体-副腎系ホルモンの合成・分泌調節機構に関する研究。
  • Corticotropin-releasing factor関連ペプチドの多彩な生理活性に関する研究。
  • ストレス応答機構の解明。
  • 摂食調節機構の解明。
  • クッシング病など機能性下垂体腺腫の病態生理の研究と診断と治療への応用。

下垂体や視床下部由来の細胞を用い、分子生物学的手法で上記内容について検証を行っています。遺伝子改変マウスを用いた検討も行っており、今後、光遺伝学的なアプローチも追加して、CRFを中心にストレス応答機構についての研究を進めていく予定です。
また、多数の内分泌疾患の症例を経験、検討し、病態生理機構の解明と診断法についての症例報告を行っています。

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