診療案内

当講座は、患者数の急速な増大が社会的な問題となっている糖尿病などの代謝性疾患と、
高い専門性が求められる内分泌疾患の診療を担当しています。
新患者数は年間約900名で、紹介率は95%を超えており、
入院患者数も年間500名以上と同領域としましては全国の大学病院の中でもトップクラスの症例数となっています。

糖尿病内科の診療について

当科では9名の糖尿病学会専門医が、約2,000名の外来糖尿病患者様(うち1型糖尿病110名)の診療にあたっており、さらに専門の看護師・薬剤師・管理栄養士が、ひとりひとりの生活やニーズに合わせて療養指導を行っています。入院症例につきましても、多業種によるチーム医療体制を構築しており、その糖尿病教育プログラムにつきましては2015年に附属病院診療奨励賞をいただきました。

日々の臨床で感じた素朴な疑問から、それぞれの教室員が研究課題を立ち上げ、その成果を国内外の学会で発表しています。

近年の糖尿病治療は日進月歩で、新たな薬や検査が次々と開発されています。当科でも、患者様への負担が大幅に軽減された新型・低価格の持続血糖測定装置や、インスリン持続ポンプ療法など先進的な治療を取り入れ、大きな治療効果を得ています。療養指導の面では、糖尿病腎症重症化予防プログラムやフットケアにも力を入れています。さらに膵性糖尿病症例に対しては、呼気検査を用いた消化吸収機能評価を参考に、テーラーメードの栄養療法を取り入れて診療を行なっています。
また、地域の皆様への糖尿病啓発活動や、医療スタッフの育成にも積極的に取り組んでいます。小児1型糖尿病症例を対象としたサマーキャンプへの参画や、行政と連携した青森県全体の糖尿病対策の立案・施行にも関わっております。2019年3月には、糖尿病に関する全国規模の学術集会「糖尿病学の進歩」を主催し、約3,000名の方々にご参加いただきました。
青森県の糖尿病診療の向上を目指し、専門性の高い、高度な医療を提供できるよう、スタッフ一同、日々努力を重ねています。

内分泌内科の診療について

内分泌グループは現在スタッフ6名、医員4名で診療に当たっています(他に関連病院に1名、留学者1名)。大学病院内には8名の専門医が在籍し、そのうち5名は指導医の資格を有しています。
内分泌内科は、視床下部-下垂体、甲状腺、副甲状腺、膵臓、副腎、性腺など対象となる臓器が多岐に渡っていることが特徴です。診断と薬物治療は当科が行い、外科的治療が必要な時は、甲状腺外科、泌尿器科、脳神経外科、消化器外科と協力して治療を進めています。

甲状腺疾患

外来で最も多いのは甲状腺疾患で、他院・他科から多く患者さまを紹介していただき(例年約200名)、バセドウ病、橋本病、甲状腺腫瘍などを診察しています。甲状腺超音波検査を施行し、腫瘍に対しは超音波下で穿刺吸引細胞診を施行して、甲状腺癌の診断に役立てています。妊娠中の甲状腺機能が注目されて妊娠に関する紹介が増え、また免疫チェックポイント阻害剤の副作用としての甲状腺機能異常の紹介が増えていることが、最近の傾向です。

内分泌負荷試験(機能検査)

近年二次性高血圧症の原因となる原発性アルドステロン症の紹介が増加しており、放射線科と共同で副腎静脈血サンプリング法という、副腎静脈から直接血液を採取して腫瘍の局在診断を行う検査も行っています。主として、視床下部・下垂体腫瘍(頭蓋咽頭種、先端巨大症、プロラクチノーマ、非機能性下垂体腫瘍、尿崩症など)、副腎腫瘍(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫など)、またインスリノーマなどの神経内分泌腫瘍の精査を行っています。
これらの診断には負荷試験が必須であり、外来や入院の上で行います。内分泌分野では必ずしも検査の基準値が“正常”を表しているとは限らず、検査結果の正しい解釈には経験も要し、高い専門性の所以となっています。

旧第三内科時代からの伝統で特に視床下部-下垂体-副腎系を得意分野としており、厚生労働省「間脳下垂体機能障害に関する調査研究」班会議に参加しクッシング病の診断基準作成等の成果を上げています(下記)。
より良い医療を提供できるようメンバー全員が日々研鑽しています。患者様の相談にも気軽に応じておりますので、これからもどうぞ宜しくお願いします。

クッシング病の日本の診断ガイドラインは、厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業間脳下垂体機能障害に関する調査研究班によって制定され、以降改訂を経て今日に至っている。

間脳下垂体機能障害の診断と治療の手引き(平成30年度改訂)におけるエビデンスを提供

Etiology DST DDAVP test CRH test
No Suppression/Total (%) Suppression/Total (%) Responder/Total (%) Responder/Total (%)
0.5 mg 1 mg 8 mg
Cushing's
disease
Micro 62/62 (100) 59/62 (95) 55/62 (89) 19/21 (90) 62/62 (100)
Macro 11/11 (100) 11/11 (100) 5/11 (45) 0/1 (0) 8/11 (73)
Total 73/73 (100) 70/73 (96) 60/73 (82) 60/73 (82) 70/73 (96)
EAS Br ca 6/6 (100) 6/6 (100) 3/6 (50) 1/3 (33) 3/5 (60)
Others 9/9 (100) 9/9 (100) 0/9 (0) 3/6 (50) 1/10 (10)
Total 15/15 (100) 15/15 (100) 3/15 (20) 4/9 (44) 4/15 (27)
Sensitivity(%) 100 96.0 82.0 86.0 96.0
Specificity(%) 0 0 80.0 55.6 73.3

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